【ことばの処方箋】疲れた夜に|やさしい夜へ誘う詩4選
🗓 2025年6月14日(土)
☀️ はじめに:疲れた夜のあなたへ
疲れた心に
そっと寄り添う静かな時間。
言葉の灯りが
夜の終わりをやさしく照らします。
今夜は無理をせず、
ふっと息をゆるめてください。
心が落ち着いていく
4つの“ことば”をお届けします。
【ことばの処方箋】疲れた夜に-俳句の処方箋①

夕立や ぬれて戻りて 欄に倚る
(ゆうだちや ぬれてもどりて らんによる)
俳人名:高浜虚子(たかはま きょし)
季語:夕立
※夏の季語。
一時的に激しく降る雨が
空気と心を洗い流す
句意:夕立に打たれて帰り、
濡れたまま欄干にもたれながら、
静かに夜の時間に身をゆだねる
激しい雨のあとの静けさ。
濡れた肩のまま、ほっと力を抜ける場所がある――
そんな夜の余白が、心をやさしく解いてくれる。

どんなふうに使うといいの?

疲れがたまった夜にぴったりの一句だよ。
たとえば、家に戻って深呼吸するときに、この句を思い出してみてね。
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▶︎ 高浜虚子の俳句一覧(ことばあそびの詩唄)
【ことばの処方箋】疲れた夜に-俳句の処方箋②

待花に 小さむい雨の あした哉
(まちばなに こさむいあめの あしたかな)
俳人名:杉山杉風(すぎやま さんぷう)
季語:待花(春)
※春を待つ気持ちが高まる頃。
咲きそうで咲かぬ花への
静かな期待と余韻
句意:花を待つ気持ちのまま、
寒さが残る小雨の朝を迎える――
少しだけ寂しさのにじむ情景
小雨の朝に咲かぬ花。
ひと晩の疲れを抱えたまま、
それでもどこか、
明日への小さな期待が残っている。

どんなふうに使うといいの?

少し寂しい夜にぴったりだよ。
たとえば、明日に期待しすぎず、今夜はゆっくり眠ろうって思いたいときにね。
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▶︎ 杉山杉風の俳句一覧(ことばあそびの詩唄)
【ことばの処方箋】疲れた夜に-短歌の処方箋①

また更に あふべき夜半も あるものを
など死ぬばかり つらき別ぞ
(またさらに あうべきよわも あるものを
などしぬばかり つらきわかれぞ)
歌人名:樋口一葉(ひぐち いちよう)
歌意:またいつか会えるはずなのに
なぜこんなにも
死ぬほどつらく
別れを感じてしまうのだろうか
別れが心を締めつける夜。
それでも、もう一度会える——
そう思えたなら、
少しだけ今夜の疲れがやわらぐかもしれない。

どんなふうに使うといいの?

誰かを思って眠れない夜に。
たとえば、胸の奥のつらさを言葉にできないとき、そっとこの歌を心に置いてみて。
【ことばの処方箋】疲れた夜に-短歌の処方箋②

つれづれと 雨ふりくらす 春の日の
夕べはわきて のどけかりけり
(つれづれと あめふりくらす はるのひの
ゆうべはわきて のどけかりけり)
歌人名:樋口一葉(ひぐち いちよう)
歌意:何もせずに過ごした春の一日。
雨が降る夕暮れどき、
何もないその静けさが
心を和ませてくれるようだった。
何もしなかった日にも、
なにげない雨の音や静けさが、
心にそっと寄り添ってくれる夜がある。

どんなふうに使うといいの?

がんばれなかった日の夜に。
たとえば、静かな雨音に耳を傾けながら、この歌をひとつ、心に浮かべてみて。
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▶︎ 樋口一葉の短歌一覧(ことばあそびの詩唄)
☕おわりに:やすらぎは、ことばから始まる。
眠れぬ夜は、
無理に何かを忘れようとしなくていい。
やさしい言葉に
少しだけ身をゆだねてみてください。
「ことばの処方箋」は、
毎週土曜日にお届けしています。
また来週、夜のひとときに
そっと寄り添えますように。
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