末吉俳句日記『雨にぼやける木犀の香』
🗓 2026年9月28日(月)
末吉俳句日記『雨にぼやける木犀の香』
木犀や 香りおぼろに 土湿る
(もくせいや かおりおぼろに つちしめる)
🖋️季語:木犀(もくせい)〔秋〕
※秋に小さな花を咲かせ、
甘く印象的な香りを漂わせる木。
とくに金木犀は、
姿を見るより先に香りで
その存在に気づくことも多く、
秋の深まりや、
ふとよみがえる記憶を
感じさせる季語です。


しとしとと秋雨の降る、
いつもの散歩道。
濡れた土や草木から、
晴れた日とは違う匂いが立ちのぼっている。
その中に、
ふっと甘い香りが混じった。
金木犀。
今年初めて出会ったその香りを
もう一度確かめるように、
ゆっくり息を吸ってみる。
けれど、
覚えていた香りとは
どこか少し違う。
雨を含んだ土の匂いと重なり、
甘さの輪郭がぼんやりとほどけている。
土が香りを変えたのか。
それとも、
去年の記憶が少し薄れたのか。
答えのないまま、
もう一度だけ、
雨の中で息を吸った。
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